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台湾IC設計会社が車載ADASで攻勢 半導体勢力図に変化

Posted on 2026/04/14



世界の車載電子化が加速し、先進運転支援システム(ADAS)向け需要が拡大している。インフレの影響で民生機器市場の伸びが鈍る中、台湾のIC設計各社は車載分野へのシフトを強め、新たな成長機会の取り込みを急ぐ。聯発科(MediaTek)や義隆電(Elan Microelectronics)は、演算プラットフォームからセンサー応用、エッジAIまで幅広く展開し、車載半導体サプライチェーンでの存在感を高めている。

聯発科は国際大手との連携を軸に車載事業を拡大する。米エヌビディアに続き、日本の車載大手デンソー(DENSO)とADAS向けシステム・オン・チップ(SoC)を共同開発する。AI演算を聯発科、車載品質・安全をデンソーが担い、統合ソリューションの競争力を高める。業界では、同社が民生中心から車載中核領域へ本格参入し、車載認証のハードルを補完したとの見方が出ている。

同社は「Dimensity Auto(AX)」を軸に、高性能・低消費電力を訴求。AI/NPUや画像信号処理(ISP)を強化し、カメラ、レーダー、LiDARなど複数センサーの統合(センサーフュージョン)により、ADAS用途でのエッジ処理能力を高め、リアルタイムの認識・判断を支える。

義隆電はセンサーとHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を起点にADAS市場へ参入し、量産段階に入った。レベル2対応製品はすでに量産済みで、レベル2+への移行も進む。既存製品はシステム更新で上位機能に拡張でき、応用の柔軟性が高い。商用車や特定用途を主戦場とし、導入サイクルの短い市場を狙う。

また、車内にとどまらずインフラ領域にも展開する。台湾・雲林ではエッジAIを活用し、道路側で歩行者や車両をリアルタイムに認識、信号制御を最適化する実証を進めており、交通安全と効率の向上に寄与している。

AIソフト・ハード統合を手掛ける擷発科は、車載AIや自動運転システムに注力。センサー統合とエッジでの即時推論を強みとし、高解像度データをデバイス側で処理することでミリ秒単位の低遅延を実現する。高発熱環境に対応した熱設計の最適化により、システムの安定性も高める。

レベル2+が主流となる中、コスト効率と統合力を備えたソリューションへの需要は一段と拡大する見通しだ。聯発科は演算基盤、義隆電はセンサー応用、擷発科はエッジAIと、それぞれ差別化戦略で市場を開拓し、台湾勢の競争軸は多層化している。



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