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PSMC半導体12インチテストウエハー新工場3月25日着工

Posted on 2021/04/09



 TwIoTA(台湾物聯産業技術協会)のWEBサイトによると、3月25日Powerchip(力晶積成電子股份有限公司)は総額2780億NTドルを投じて、12インチウェハ工場を建設すると国内外の400人以上の業界関係者キーマンを集めて発表した。

 2023年から月次10万個の生産能力を持つ工場が段階的に稼働を予定する、この工場は3,000人以上の高度な技術を持つ雇用が創出。フル稼働で年生産額は600億NTドルを超える。生産が軌道に乗れば成熟したプロセスと革新的な技術に基づく新しい工場運営モデルとなる。これにより、半導体業界でムーアの法則に反する新しい逆ムーアの法則(Reverse-Moore's Law)が生まれるかに注目。

 このPowerchip(力積電)の式典は、蔡英文總統を始め、行政院(日本の内閣府あたる機関)、經濟部(同経済産業省)、科技部(同文部科学省)、地方行政の首長、アメリカ在台協會代表、半導体業界関係者が多数出席。

 蔡英文総統は祝辞の中で、Powerchip(力積電)のこうした取り組みを通じて、グローバルサプライチェーンのトレンドと市場のニーズに対応し、台湾の半導体産業が「国を守るための山(砦)」となると指摘。さらに政府が計画を推進している「六大核心戰略産業」(6つの中核産業振興戦略の方針)は、これからも半導体・通信産業の「強み」を最大跟発揮して、台湾を「より高度な生産センター」としての地位を築いていくことになると述べた。同時に、外国人投資家とっても魅力的な投資環境を目指し、台湾への投資誘致をさらに促進し、台湾は信頼できる国際的なパートナーにとっての地位を高めていくと述べた。

 Powerchip(力積電)の董事長である黃崇仁(HuangChongren)は、「Powerchip(力積電)が25年前に新竹科学工業園区に最初の8インチウェーハファブを建設して以来、世界的な金融危機やDRAM業界の再編の中で常にビジネスモデルの変革し、これまで1,200億NTドルの返済を経験した」と述べた。今回の新たな工場の建設は全従業員にとって新しい挑戦として重要な意味を持つ。

 黃崇仁氏は自動車、5G、AIoTなどのチップに対する新たな需要の急増により、すでに世界の産業に構造的な変化をもたらしていると指摘。現在、成熟したプロセスチップに対する市場の需要は爆発的に増加しており、近い将来需要が供給を上回ることが必須であり、生産コストを削減して利益を上げるためにはプロセス技術を進歩させるというムーアの過去の法則を見直す必要が生じている。

 新しいPowerchip(力積電)の工場の運営戦略に関して、黃崇仁氏は12インチウェーハ生産ラインの投資には1,000億NTドルに近い金額となり、最先端の3nm の12インチの工場建設はさらに6000億NTドルに近い投資が必要であり、これは財務的にも、技術的にも、経営的にも大きなリスクを抱えることになる。粗利益率で言うと2.3%という水準が確保できればよい方と見なされる。

 一方、IC設計やその他の半導体周辺の設備産業は利益を享受している。リバースムーアの法則(Reverse-Moore's Law)は、この不均衡なサプライチェーン構造を変える。ウェーハ製造やその他の上流および下流の周辺産業は、利益分配とリスクの新しい協力モデルを確立する必要があり、半導体産業を健全な産業として継続していくために必要とされる。

 さらに、黃崇仁氏は生産能力への投資に加えて、イノベーションはウェーハ製造業界が価値を高める方向でもあることを強調した。 Powerchip(力積電)はメモリとロジックプロセステクノロジーの両方を備えた世界で唯一の専業のファウンドリである。プロセスとしては最先端ではないが、同社は独自の専門知識を駆使して、メモリとロジックウェーハをスタックするためのInterchipテクノロジーの立ち上げることに成功。

 異種ウェーハスタッキングチップ間のデータ伝送のボトルネックを打ち破り、省電力効率を2~3つの世代のプロセスを越える大幅に向上させた。これは同社の半導体製造における革新的な技術であるだけでなく、台湾の強さのひとつとなっている。

 Powerchip(力積電)の新工場は、ハイスペックな環境保護基準に基づいて設計。工場エリアの廃水回収率は85%を超える。さらに、工場には太陽光発電とエネルギー貯蔵設備を設置。計画されているグリーン電力容量は7,500 kW、総生産能力は月に10万個の12インチウェーハ、プロセス技術は1xから50nmをカバーし、成熟したプロセス半導体チップ生産する最大かつ最新の製造拠点と言える。




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