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〔台湾Startup〕FPGA を使い、ハードウェアからビッグデータ処理を最適化

Posted on 2021/01/29



会社名:WASAI Technology/偉薩科技有限公司
住 所:台北市萬華區長沙街二段 66 號4樓
URL:http://www.wasaitech.com

スタートアップ企業及び強み紹介:
 2015 年設立、創業は4人。IBM や MediaTekなどで経験を積んだスタッフが中核。スタッフは現在 16 人にまで増えている。WASAI の語源は「We  Accelerate  System  Architecture  & Infrastructure」、つまりシステムの処理速度を加速するソリューションを持つスタートアップである。具体的にはビックデータ解析で最もよく使われる「Apache Hadoop(TM)」や「Apache Spark(TM)」上の処理速度向上を目的としたサーバーに組み込むアクセラレーター(加速器)を提供している。実際の製品はサーバのマザーボード(電子回路基板)に挿しこむ拡張ボードとその性能を引き出すソフトウェアで構成されている。
 仮想通貨のマイニング、ビッグデータの処理、DNA の解析や AI の深層学習などについては、NVIDIA などに代表される GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる半導体チップが使われることが多かった。これはコンピュータが画面に表示する画像を描画するための処理を行う ICから発展したもので、特に定形かつ大量の演算を並列に処理できる機能に着目して、画像処理以外の用途にも使われるようになったものである。
 しかし、本来これは画像処理用なので、さまざまな目的で使用するには必ずしも最適化されているわけではない。最初は量産効果による購入費用の安さを活かし、数で勝負するというやり方も取られていたが、使用数が増えると専用チップを作って処理をハードウェアからも最適化した方が有利となる。
 たとえば、仮想通貨のマイニングに関しては、すでにマイニングに最適化された ASIC(特定用途向け IC)が使われていた。しかし、ASIC を作るほど量が出ない分野に対しては費用対効果でGPU を使うことも多かった。WASAI はこの
「ASIC を作るほど量が出ない」分野に着目した。WASAI の創業チームはサーバーや IC の設計・開発の経験者が集まっており、ソフトウェアからだけでなく、ハードウェアからも最適化を行っている。
 キーとなるのは FPGA(Field-Programmable Gate Array)という IC である。これは製造後に構成を変更できる集積回路であり、言い方を換えれば1個からでもオリジナルの半導体チップが製造可能である。また、需要が増えれば ASIC に変更して量産することも容易である。
 もともと FPGA は構成を変更できる代償として、チップ1個当たりの単価が高い、また処理速度が低速、さらにエネルギー効率が悪く、実装可能な機能も限られるなど欠点も多かった。しかし、大量生産、製造ルールの微細化、研究開発などにより、FPGA の性能やコストはかなり改善され、それに伴い「ASIC を作るほど量が出ない」という分野で、かつ「費用対効果で GPU を使うよりも FPGA を使った方がよい」という分野も増えてきている。
 特に WASAI が手掛けるサーバーの分野は1台当たりのコストは高く、常時稼働するための電力コストもかかるため、処理速度向上で台数を減らすことができれば、大幅なコスト削減に繋がり、高価な FPGA を使っても十分採算が合うことになる。使用目的にもよるので簡単には言えないが、今まで6~10 倍の処理速度向上を実現するとすれば、つまりそれは1/6~1/10 のサーバー台数の削減を実現したことになる。FPGA 自体はもともと存在した製品であるが、その使い方、そして半導体製造基地としての台湾の立地や人材の「強み」をうまく活かすという着眼点は大きく評価できる。

WASAI-Lightning™ - Genomics Secondary Analysis Accelerated Solution
製品紹介ビデオクリップはことら https://youtu.be/fcnXU24b-Mc



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